2026年第3四半期のNel決算は、PEM電解装置への需要拡大とアルカリ事業の低迷との間に大きな差があることを示した。水素関連設備メーカーの同社は2026年10月15日、顧客向け売上高が1億1,200万ノルウェークローネとなり、前年同期比63%減少したと発表した。グループの受注額は339%増の2億5,300万ノルウェークローネとなった一方、EBITDA損失は前年同期の3,700万ノルウェークローネから9,300万ノルウェークローネに拡大した。
主なポイント
- PEM売上高は65%増加した一方、アルカリ売上高は91%減少し、グループ全体の売上高減少につながった。
- 受注残は13億1,400万ノルウェークローネに達し、四半期受注の97%をPEMが占めた。
- 営業キャッシュ流出額は2億ノルウェークローネで、HYDSの両プロジェクト用地はリスクありと分類された。
目次
Nel決算、事業間の差が拡大していることを示す
Nelの2026年第3四半期決算によると、コンテナ型電解装置の契約とプロジェクト遂行の改善を背景に、PEM売上高は8,900万ノルウェークローネに増加した。アルカリ売上高は、長期間にわたり受注が限られていたことを受け、2,300万ノルウェークローネに減少した。
PEM事業の好調だけでは、アルカリ事業の減少を補えなかった。PEM事業のEBITDA損失は前年同期比で1,000万ノルウェークローネ縮小した一方、アルカリ事業の損失はコスト削減にもかかわらず拡大した。
当四半期の営業活動によるキャッシュ流出額は2億ノルウェークローネだった。Nelの9月末時点の現金残高は10億7,800万ノルウェークローネで、前年同期の17億5,700万ノルウェークローネから減少した。この現金残高は事業運営と技術開発の資金となるが、当四半期も多額の現金が消費された。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 売上高およびその他収入の合計 | 2026年第3四半期:1億3,800万ノルウェークローネ、2025年第3四半期:3億4,900万ノルウェークローネ。 |
| 純損失 | 2026年第3四半期:1億4,100万ノルウェークローネ、2025年第3四半期:8,500万ノルウェークローネ。 |
| PEM部門のEBITDA | 2026年第3四半期は2,400万ノルウェークローネの損失。 |
| アルカリ部門のEBITDA | 2026年第3四半期は4,100万ノルウェークローネの損失。 |
| 四半期末の部門別受注残 | PEM:11億1,600万ノルウェークローネ、アルカリ:1億9,800万ノルウェークローネ。 |
PEM受注は増加する一方、受注残には納入リスク
グループの受注残は前年同期比34%増、前四半期比8%増となった。Nelのコンテナ型システムへの需要を反映し、その構成は主にアルカリ装置だった状態から、主にPEMへと移行している。
最高経営責任者(CEO)のHåkon Volldal氏は、顧客はまず10~50メガワット規模の設備でプロジェクトを開始し、その後段階的に能力を追加するケースが増えていると述べた。標準化されたシステムにより、顧客は水素の販売量に合わせて設備投資をより細かく調整できるとともに、個別設計に伴うエンジニアリング費用の一部を回避できる。Nelはコンテナ型ユニットを約30基販売している。
受注残のすべてについて、納入の確実性が同じというわけではない。最高財務責任者(CFO)のKjell Bjornsen氏は、HYDSの両プロジェクト用地が、前四半期の1カ所に対して、現在はともにリスクありと分類されたと述べた。遅延が続けば、2027年にプロジェクトを納入できない可能性がある。
Bjornsen氏はまた、アルカリ受注残のおよそ半分は、技術ライセンス契約に基づく将来のマイルストーン支払いに相当すると述べた。残りは多数の小規模受注で構成されており、設備納入案件だけで成り立つ受注残とは性質が異なる。
防衛関連受注とHydrasunがPEMの事業機会を拡大
Nelは、米国、英国、フランスの海軍プログラム向けに、Collins Aerospaceから潜水艦関連の受注を総額約2,000万米ドル獲得した。今回の受注は、潜水艦の生命維持システムで酸素を生成するスタックの供給を通じた15年間の協業を拡大するものだ。この金額は単一契約ではなく、複数の受注の合計である。
スコットランドを拠点とするHydrasunとの枠組み契約により、コンテナ型PEMシステムの欧州での統合能力が加わる。スタックの生産はコネチカット州ウォリングフォードで継続し、Hydrasunがスタックを完成システムに組み込む。これにより納入の柔軟性が高まり、完成したコンテナを米国から輸送する必要性が減る。
これとは別に、Nelは防衛用途向けの分散型合成燃料生産を評価するため、Rheinmetallと覚書を締結した。両社は、候補地、電力へのアクセス、持続可能な炭素供給など、技術面と商業面での実現可能性を検討する。これはあくまで評価の取り組みであり、生産展開が確定したわけではない。
技術目標は引き続き開発上のマイルストーン
General Motorsと共同開発しているNelの次世代PEMスタックは、縮小規模での試験を約3,000時間完了した。実規模での試験は2027年に始まる見込みだ。
経営陣が掲げる設計目標には、現行プラットフォーム比70%のコスト削減、部品点数の50%削減、水素1キログラム当たり48キロワット時のスタックレベルでの電力消費が含まれる。現在の消費量は52~53キロワット時だ。これらは開発目標であり、達成済みの商業実績ではない。
2026年5月に商業展開を開始した加圧アルカリ技術についても、試験が続いている。Volldal氏によると、顧客との協議は進んでいるが、最初の顧客発表までには、少なくとも数カ月かかる見込みだ。
結論
PEM需要はNelの受注残を押し上げた一方、アルカリ事業の低迷と現金の消費が引き続き業績の重しとなった。次の公表済みマイルストーンは、加圧アルカリ技術の最初の顧客発表と、2027年に予定されるPEMスタックの実規模試験開始だ。
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