NVIDIAは、構造化されたビジネスデータ向けのKumoモデルに加え、ロボティクス、タンパク質設計、量子コンピューティングにまたがる新たなNemotronモデルとツールを投入し、オープンモデルのポートフォリオを拡大しています。2026年10月21日に詳細が発表されたNVIDIAのオープンモデル拡充により、組織は自社のデータに合わせてカスタマイズでき、自ら管理するインフラ上で展開可能な基盤を利用できます。発表された製品の大半はすでに利用可能で、Nemotron 3.5 Boltは10月23日、Alpamayo 2 Edgeは今月後半に提供される予定です。

主なポイント

  • Kumoは、構造化された企業データを対象とする予測、フォーキャスティング、不正リスク評価の機能を追加します。Coinbase、Revolut、Databricksなどが、導入に向けて取り組む最初の組織に含まれます。
  • 今回の拡充は言語モデルの枠を超え、ロボティクスの学習、車載推論、タンパク質設計、量子ハードウェアのキャリブレーションにも及びます。
  • ポートフォリオ内で提供状況は異なります。複数のモデル群はすでに利用できますが、Nemotron 3.5 BoltとAlpamayo 2 Edgeは今後提供される予定です。

目次

NVIDIAのオープンモデルで組織がカスタマイズできること

今回の拡充は、汎用システムだけを使うのではなく、開発者が自社の言語、知識、業界要件に合わせて適応できるモデルの提供を中心としています。NVIDIAは、このポートフォリオを、組織が自ら管理するインフラ上で実行できるアプリケーションの基盤と位置づけています。

Nemotronは、テキストや画像を扱うエージェント向けに、言語モデル、データセット、学習レシピを提供します。発表された追加製品には、Nemotron 3.5 Super VLとNemotron 3.5 Boltのほか、埋め込み、再ランキング、文書解析向けのRetrieverモデルが含まれます。これらは、エージェントの機能と、企業文書をそれらのシステムで利用可能にする作業の双方に対応します。

同社によると、Dassault Systèmes、SAP、Salesforce、Shopify、Synopsys、WPPなどの組織がNemotronのモデルやデータセットを活用し、カスタムモデルや特定領域向けエージェントの開発に取り組んでいます。AccentureとEYも参加しています。これらは開発の取り組みとして説明されており、すべての参加企業で本番環境への導入が完了したことを示すものではありません。

NVIDIA Nemotron Coalitionに参加する欧州の企業・機関には、Black Forest Labs、H-Company、Mistralが含まれます。NVIDIAによると、これらのデータ、研究、専門知識がNemotronの基盤に活用されています。

項目詳細
Nemotron 3.5 Super VLHugging Face、ModelScope、OpenRouter、NVIDIA NIMおよびパートナーを通じて利用可能。
Nemotron 3.5 Bolt10月23日に提供開始予定。
Nemotron Retriever埋め込み、再ランキング、文書解析向けに、Hugging Face、パートナープラットフォーム、NVIDIA NIMを通じて利用可能。
KumoHugging Faceで利用可能。さらに、本番環境での推論向けにNVIDIA NIMマイクロサービスとして提供。
CosmosHugging FaceとGitHubでオープンに提供され、一部の推論パートナーを通じても利用可能。
Alpamayo 2 Edge10月後半にGitHubとHugging Faceでダウンロード提供予定。
BioNeMo RFD4-ProteinaNVIDIAの開発者向けプラットフォーム、NVIDIA NIM、GitHub、Hugging Faceおよび一部の推論パートナーを通じて利用可能。
IsingGitHub、Hugging Face、NVIDIAの開発者向けプラットフォームで利用可能。

Kumo、ビジネスデータに基づく予測を目指す

Kumoは、ビジネスデータに最も直接焦点を当てた追加製品です。オープンウェイトの基盤モデル、ライブラリ、ツールは、構造化データから結果を予測し、不正リスクを評価し、アクションを推奨するアプリケーションを支援するよう設計されています。

NVIDIAが説明する実務上の変化は、予測タスクごとに別個の機械学習パイプラインを構築する必要性を減らすことです。開発者は、事前学習済みモデルを起点にでき、ワークロードでより高い性能が必要な場合は、独自データでファインチューニングできます。

Kumo Structuredは、リレーショナルデータや表形式データの予測、フォーキャスティング、異常検知に対応します。Kumo Engineは、構造化データ向け基盤モデルを開発・展開するためのオープンなライブラリ群を提供します。このモデル群はNVIDIA Agent Knowledge Foundationの一部です。

Cognite、Coinbase、Databricks、DoorDash、Revolut、Tubiなどが、Kumoを活用する最初の組織に含まれます。またNVIDIAによると、Snowflakeの顧客はすでに、広告、エネルギー、金融サービス、小売の各分野でAI開発を加速するためにモデルを利用しています。報告では、顧客のコスト削減額や予測精度の改善幅は定量化されていません。

ロボティクスツール、導入前の学習に重点

フィジカルAI分野では、NVIDIAは、より少ない計算資源で世界モデルの性能を高めることを目的としたCosmosの追加学習・最適化ツールを投入します。シミュレーション用チェックポイントにより、開発者は現実世界でテストする前に、対話型の運転やロボット操作のシナリオで挙動を評価できます。

新しいCosmos Data Factoryは、学習データの選定、ラベル付け、生成、評価を行うためのブループリントとエージェントの中核スキルを組み合わせています。用途には、運転シナリオ、製品の欠陥、画像拡張などがあります。開発者は、エージェントがプロセスを連携させる中で、ワークフロー全体または個別の機能を利用できます。

NVIDIAによると、Voxel51と連携するPorsche、Encordと連携するANYbotics、Sereactと連携するZalandoおよびCEVA Logistics、さらにSiemensが、Cosmos Data Factoryを利用して多様な学習データセットを作成し、モデルの精度を向上させています。

Alpamayo 2 Edgeは、別の段階、すなわち自動運転車内での推論を対象としています。この小型モデルは、リアルタイムのシーン理解と動作計画を組み合わせ、Cosmos 3 EdgeのNemotronベースの基盤を採用し、NVIDIA DRIVE AGX Thor向けに最適化されています。NVIDIAによると、より低い計算要件の車両にも高度な運転機能をもたらすよう設計されています。ダウンロード提供は今月後半の予定です。

科学分野のモデル、タンパク質設計と量子システムに対応

科学分野向けの追加製品は、単一の汎用研究アシスタントではなく、それぞれ異なるワークフローに対応します。BioNeMo RFD4-Proteinaはタンパク質の配列と三次元構造を生成し、Isingは量子ハードウェアのキャリブレーションと誤り訂正を対象とします。

タンパク質候補は引き続き実験室での試験が必要

NVIDIAと、ワシントン大学Institute for Protein DesignのBaker Labが開発したRFD4-Proteinaは、結合が難しい標的や小分子に結合するタンパク質、あるいは複雑な構造を形成するタンパク質の設計を支援することを目的としています。

NVIDIAは、10を超えるタンパク質設計タスクで最高水準の性能を示し、アミノ酸200個のタンパク質を用いたベンチマークではRFdiffusion3より約13倍速く生成したと報告しています。これらの数値は報告されたベンチマークにおけるモデル性能を表すものであり、実験室での検証が完了したことを示すものではありません。研究者はエージェントを使って候補を生成・評価したうえで、実験室で試験する設計を選ぶことができます。

量子分野のパートナー、キャリブレーションと誤り訂正を目指す

IQM Quantum ComputersはIsingを利用して量子プロセッサをキャリブレーションしています。SEEQCはIsing、NVIDIA NVQLink、自社のDigital Linkを組み合わせ、リアルタイムの量子誤り訂正に求められる低遅延要件への対応に取り組んでいます。

AWSはIsingをAWS Parallel Computing Serviceに統合し、研究者が導入前にモデルを利用できるようにしています。NVIDIAは、遅延要件のため、デコーディングは通常、量子プロセッサと同じ場所に設置された古典ハードウェアで行われると指摘しています。AWSとの統合は、その導入段階に先立つ研究を支援します。

現在利用できるものと今後の提供予定

NVIDIAの発表では、現在利用できるモデルと今後のリリースが区別されています。Super VLはモデルプラットフォーム、NVIDIA NIM、パートナーを通じて利用可能です。Kumo、Cosmos、Retriever、BioNeMo RFD4-Proteina、Isingにも提供チャネルが挙げられていますが、チャネルは製品ごとに異なります。

今後予定されている短期的なリリースは、10月23日提供予定のNemotron 3.5 Boltと、10月後半に提供予定のAlpamayo 2 Edgeです。これらの日程は提供計画を示すものであり、リリースがすでに完了したことを意味しません。

結論

今回の拡充により、NVIDIAのカスタマイズ可能なモデル製品は、企業向けエージェントからビジネス予測、フィジカルAI、科学研究にまで広がります。開発者にとって、すぐに評価できるツールと、10月後半に提供予定のBoltおよびAlpamayoのリリースとの違いが、当面の重要なポイントです。

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