10月22日、NVIDIAはモデルのサービングコスト、商品発見、倉庫計画に関する欧州の小売業界向けAIプロジェクトを詳しく紹介した。Shopifyの社内ベンチマークでは、カスタマイズしたモデルのサービングコストが90%削減された一方、Otto Groupはシミュレーションを活用した倉庫プロジェクトを、ドイツ最大のフルフィルメントセンターに拡大した。
主なポイント
- Shopifyによると、社内ベンチマークで追加学習したモデルは精度が向上し、サービングコストが90%低下、応答速度は7倍になった。
- 小売業界での用途は、Zooplusの検索プロトタイプから、導入済みの画像編集や物理シミュレーションに基づくバーチャル試着まで多岐にわたる。
- Otto Groupは倉庫シミュレーション機能を拡大した。一方、NVIDIAの小売業界向けブループリント3種は、引き続き早期アクセス段階にある。
目次
欧州の小売業界でカスタマイズモデルを活用
Shopifyの成果の中心となるのは、加盟店向けAIアシスタント「Sidekick」に組み込まれたGraphQLサブエージェントだ。同社はMegatron BridgeやNeMo RLなどのツールを用いて、NVIDIA Nemotron 3.5 Lightningに追加学習を行った。このサブエージェントは、加盟店の事業を調査して改善策を提案する「Sidekick Pulse」などの機能向けに、ストアデータを取得する。
NVIDIAによると、Shopifyの社内ベンチマークでは、カスタマイズモデルは名称が明らかにされていない主要なフロンティアモデルを精度で上回り、サービングコストを90%削減し、応答速度を7倍に高めた。ただし、これらの結果は同ベンチマークに関するものであり、加盟店のあらゆる業務で同様の性能が得られることを示すものではない。
これとは別に、NVIDIA CCluster vLLM推論最適化ソフトウェアにより、Shopifyはカタログ情報の拡充、加盟店支援、ショッピングシミュレーション、商品分類、レコメンデーションという他の5つの用途で、処理速度を4.5倍に高め、推論コストを最大12分の1に抑えた。
検索と商品画像は導入段階が異なる
ZooplusはInfosysおよびNVIDIAの技術を活用し、商品発見機能を再構築した。ペット用品小売業者のAmazon Web Services環境に導入された本番環境対応のプロトタイプは、検索精度86%を達成した。セマンティック検索にはNemotron Retrieverライブラリを使い、検索可能な商品属性の生成にはNVIDIAの小売カタログ情報拡充ブループリントを活用している。
Vestiaire Collectiveでは、PhotoroomのImage Editing APIが現在、出品商品のメイン画像をすべて標準化しており、70カ国で1日約4万件を処理している。NVIDIAによると、処理後の出品商品は流動性指標が5%高く、商品ページのユニークビュー数が3~7%多かった。この処理パイプラインは、TensorRTとTriton Inference Serverを使用し、NVIDIA GPU上で稼働する。
Omiは、生成画像を承認済みのデジタルツインに結び付け、カタログ全体で商品に関する誤りを防ぐため、ProductDropを立ち上げた。L’Oréalはこの手法をCreAItechプログラムで採用している。OmiのTRELLIS 3Dアセット生成はRTX PRO 6000 Blackwell Server Edition GPU上で稼働し、推論速度が10倍、パイプラインのレイテンシが4分の1になったと報告されている。
カタログ処理と成分研究で導入が拡大
MiraklのCatalog Transformerは、ベンダーデータを整理するためにファインチューニング済みのオープンモデルと独自サービスを組み合わせ、7,000万点を超える商品を登録した。Miraklは自社インフラ上のNVIDIA GPUに加え、Scalewayなどの欧州クラウドプロバイダーを通じてモデルを稼働させている。
L’Oréalは成分研究にもNVIDIA ALCHEMIを統合しており、実験に数カ月かかっていた作業を計算によるスクリーニングで数時間に短縮したと報告している。また、オープンソースの分子シミュレーションモデルOrbMol-v2を利用し、Orbital IndustriesのCurieOSを通じた関連手法も試験している。
ALCHEMI Toolkitと統合したOrbMol-v2は、同種の次点モデルと比べて誤差が21%低く、処理速度は5倍だと報告されている。このワークフローでは、実験室での試験に先立ち、UVフィルターを可溶化する有望な成分の組み合わせを特定する。
倉庫とバーチャル試着に広がるシミュレーション
Otto Groupは、人間の監督下で自律運用する倉庫構想を、ドイツのハルデンスレーベンにある同社最大のフルフィルメントセンターに拡大した。Replyと共同で構築され、NVIDIA Omniverseライブラリを使ってGoogle Cloud上で稼働するこのシステムにより、物流チームは現場で実施する前に、シミュレーション上で業務の設計、検証、最適化を行える。
ALLSIDESは、実物を数分でシミュレーション対応アセットに変換する自動化3D Digital Twin Factoryを立ち上げた。同社は、1ミリメートル未満の幾何学的精度、実測した物理特性、光源を変更できるマテリアルを特徴として挙げている。同社のプラットフォームはすでに、adidas、Amazon、Nike、Zalando、Zaraなどのブランドに利用されている。
バーチャル試着では、CATCHESが、AMIRIでのRealFit導入により、同一条件のスタイルを季節要因調整後に比較した結果、コンバージョン率が55%、カート追加が80%、総売上高が56%増加したと報告した。CATCHESは小売業者向けのPredictiveFitと、ショッピング、スタイリング、サイズ選びを支援するWhatsAppファッションエージェントのCASIも立ち上げた。
小売業界向けブループリント3種は早期アクセス段階
GTC BerlinでNebiusは、自社インフラ上で稼働するNVIDIAの小売業界向けブループリント3種を紹介している。いずれも早期アクセスで提供されており、一般提供開始済みの製品とは説明されていない。
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