債券利回りの安定化は、最近の株式バリュエーション倍率の低下に歯止めをかけ、年末にかけての市場回復を支える可能性があると、JPMorganのストラテジスト、ミスラフ・マテイカ氏は2026年10月19日に述べた。ただし、同氏の見通しには条件がある。利回りが安定すれば、株式への圧力要因の一つが取り除かれる可能性はあるものの、反発が保証されるわけではない。

主なポイント

  • マテイカ氏は、世界の債券利回りが安定すれば、株式バリュエーションの支えとなる可能性があるとみている。
  • 米10年国債利回りが5%を上回るなか、S&P 500の予想利益倍率は低下した。
  • 第3四半期決算の初期段階で予想を上回る結果が支えとなっているが、決算発表シーズン全体の結果を示すものではない。

目次

債券利回りの安定化が重要な条件

マテイカ氏の主張の中心にあるのは、債券利回りの上昇が一服するかどうかだ。最近の利回り上昇と同時に、投資家が予想企業利益に対して支払う意思のある価格が縮小し、株式バリュエーションは圧力を受けている。

JPMorganの10月19日付の世界債券市場アップデートは、国債利回りが数十年ぶりの高水準にあると説明した。また、金利が高水準に長期化するとの政策見通し、エネルギー価格の高止まり、地政学的な不透明感が、利回りの再評価につながったと指摘した。こうした環境が株式への圧力を説明する一方、利回りがすでに安定したことを示すものではない。

この違いは、回復見通しを考えるうえで重要だ。バリュエーションの縮小が止まれば逆風は一つ取り除かれるが、それだけで利益予想や株価の上昇を意味するわけではない。

項目詳細
米10年国債利回り最近の上昇局面で5%を上回った。
S&P 500の予想PER予想利益の21.7倍から19.1倍へ低下した。
米国の第3四半期決算(初期段階)決算を発表した企業の78%がEPS予想を上回った。
欧州の第3四半期決算(初期段階)決算を発表した企業の60%がEPS予想を上回った。

初期の決算結果が別の支援材料に

第3四半期決算の初期段階では、米国と欧州のいずれでも、決算を発表した企業の過半数が1株当たり利益(EPS)の予想を上回った。こうした結果は利回り上昇の圧力を和らげる材料となるが、決算発表シーズンの序盤を対象とするにとどまる。

State Street SPDR S&P 500 ETF Trust(ティッカー:SPY)の保有者にとって、関連するのは同ファンドがS&P 500を通じて米国大型株に投資している点だ。同指数の利益見通しやバリュエーション倍率の変化は、ファンドが追跡する企業に影響する。

S&P 500の予想株価収益率(PER)は、株価を予想利益と比較する指標だ。その低下を、企業利益が同じ割合で減少した証拠と解釈すべきではない。また、SPYの別個の実績利益倍率と混同すべきでもない。

結論

年末にかけて市場が回復するとの見方は、利回りが安定し、利益が引き続き下支えとなることを前提としている。今後の第3四半期決算と国債利回りの動向が、これらの条件を試すことになる。マテイカ氏の見通しは、利回りの上昇一服も株式の反発も確定したとはしていない。

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