中東情勢の緊張が高まり、原油価格が上昇して世界の株式相場が動揺するなか、2026年10月23日には日本円やスイスフランなどの安全通貨に需要が集まった。米ドルには同様の安全資産としての魅力は見られなかった一方、エネルギーコストの上昇がインフレを長引かせるとの懸念があるにもかかわらず、米国債利回りは低下した。

要点

  • 世界の株式相場が軟調となるなか、円とスイスフランに安全志向の需要が集まった。
  • 米国債利回りが低下する一方、原油高が金利見通しを複雑にした。
  • カナダの小売売上高は8月に増加し、政策判断に向けた国内需要の別の手掛かりとなった。

目次

株式相場が後退するなか、安全通貨に需要

サウジアラビアのインフラ施設への攻撃を受け、ブレント原油は上昇した。イランへの攻撃再開の可能性も、エネルギー供給をめぐる不確実性を高めた。市場の動きでは、原油の急伸と、S&P 500および半導体株の下落が並んだ。

投資家はドルを一律に買うのではなく、円とスイスフランに資金を振り向けた。同時に、米10年国債利回りは1カ月ぶりに5%を下回った。

こうした組み合わせは、相反する圧力を浮き彫りにした。エネルギー価格の上昇はインフレ懸念を強める一方、株安と米国債利回りの低下は安全資産を求める動きを示した。ただし、これらの動きだけでは、中央銀行がどのように対応するかは判断できない。

項目詳細
ブレント原油10月23日の市場概況で4%上昇し、113.17米ドルとなった。
S&P 5001.2%下落。半導体株指数も軟化した。
米10年国債利回り1カ月ぶりに5%を下回った。

各国・地域で金利見通しに相違

連邦準備制度理事会(FRB)は、次回会合を前に、根強いインフレと成長への懸念に直面していた。原油高はこのバランスを複雑にし、政策金利がより長期にわたって引き締め的な水準にとどまるとの見方を強めた。

英国では、購買担当者景気指数(PMI)調査の強い結果を受け、11月に政策金利が4.00%へ引き上げられるとの見方が支えられた。これはあくまで市場の予想であり、イングランド銀行が発表した決定ではない。また、生産が潜在水準を下回り、実質賃金が停滞するなか、予想される金融引き締めが過度かどうかをめぐって見解が分かれていた。

オーストラリア準備銀行(RBA)によるタカ派的な警告や、日本のコアインフレ率の上昇も、地域的な利上げ観測を支えた。したがって、為替市場の背景には、安全資産への需要だけでなく、各国・地域の異なる国内政策見通しも反映されていた。

カナダの売上高が別の需要シグナルに

カナダ統計局の8月小売売上高の表によると、季節調整済み売上高は745億6,700万カナダドルで、7月から1.2%、前年同月から5.4%増加した。10月23日に公表されたこの数値が示すのは8月の消費であり、市場が売り込まれた日の経済活動ではない。

8月の速報値は、改定後の7月の数値に続くものだった。この発表はカナダ経済を評価するための国内需要指標となったが、カナダ銀行の政策対応を確定するものでも、当日の為替変動を説明するものでもない。

結論

10月23日の市場では、安全通貨への需要と、エネルギー価格上昇に伴うインフレ懸念の再燃が併存した。次に予定されている日付入りの信用・政策関連指標は、10月27日に公表されるECBの銀行融資調査で、ユーロ圏の融資環境と貸出需要に関する手掛かりとなる。

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