ノバルティスは2026年10月23日、再発性多発性硬化症を対象とした2件の第3相試験で、レミブルチニブがテリフルノミドと比較して再発率を低下させたと発表した。この経口薬では、障害進行の遅延を示唆するシグナルも認められ、肝臓の安全性に関するシグナルは観察されなかった。ノバルティスは、この適応症について世界各国で規制当局の承認を求める計画だ。
主なポイント
- 2件の試験における年間再発率は、テリフルノミドと比べてそれぞれ35.2%、31.2%低かった。
- 6カ月間持続する障害進行の統合解析で、低下幅は名目上の統計的有意性に達した。
- ノバルティスは世界各国で規制当局への申請を計画しているが、この結果は再発性MSの承認を意味するものではない。
目次
レミブルチニブ試験、主要評価項目の再発率低下を達成
ノバルティスの第3相REMODEL試験の結果によると、2件の試験はいずれも年間再発率の低下という主要評価項目を達成した。同社はMSToronto2026で結果を発表し、同時に医学誌「The Lancet」に掲載された。
REMODEL-1では、年間再発率はレミブルチニブ群が0.073、テリフルノミド群が0.112で、相対的に35.2%低下した。REMODEL-2では、それぞれ0.080、0.116で、31.2%低下した。いずれの比較も統計的に有意だった。
レミブルチニブ群の再発率は、年間ベースでおよそ13年に1回の再発に相当する。これは観察された再発頻度を表す方法であり、患者を13年間追跡したことや、各患者が必ずその結果を経験することを示すものではない。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 試験デザイン | 同一デザインの多施設共同、無作為化、二重盲検、実薬対照の第3相試験2件。 |
| 登録患者数 | 世界各国の成人約2,000人を1対1で無作為に割り付け。 |
| 患者の適格基準 | 最近の疾患活動性があり、Expanded Disability Status Scale(総合障害度評価尺度)のスコアが0.0~5.5の再発性MS患者。 |
| 主要試験期間 | 最長30カ月の柔軟な二重盲検期間。 |
| 延長試験 | 最長5年間の非盲検延長試験。 |
障害およびMRI所見が有効性の全体像を補足
統合解析では、レミブルチニブにより、6カ月間持続する障害進行のリスクがテリフルノミドと比べて29.2%低下した。ノバルティスはこの結果を名目上有意と説明しており、統計的に有意だった主要評価項目の再発率低下とは異なる位置づけとなる。
6カ月間の確認基準では、レミブルチニブ投与患者の92%超が24カ月にわたって進行を認めなかった。3カ月間持続する障害進行の評価でも良好な傾向が示され、リスクは20.5%低下した。
MRI所見もレミブルチニブを支持した。年間のT2病変活動性は2件の試験でそれぞれ65%、70%低下し、ガドリニウム造影T1病変の発生率は両試験で66%低下した。これらの指標は、再発だけでなく疾患活動性を評価するものだ。
肝臓に関する所見は良好だが、有害事象は発生
ノバルティスは、Hyの法則に該当する症例を含め、肝臓の安全性に関するシグナルは認められなかったと報告した。肝酵素値が基準値上限の3倍を超えた患者の割合は、レミブルチニブ群で2.0%、テリフルノミド群で7.4%だった。
有害事象による治療中止率は、レミブルチニブ群で3.1%、テリフルノミド群で5.8%だった。重篤な有害事象の発生率は、それぞれ6.0%、7.0%だった。
レミブルチニブ群では2人が死亡した。1人は偶発的な一酸化炭素中毒、もう1人は自殺だった。治験責任医師はいずれも治療との関連はないと評価した。観察された肝臓の安全性シグナルがなかったことは、有害事象が一切なかったことを意味しない。
次の予定段階は規制当局への申請
レミブルチニブは、慢性的なB細胞枯渇を伴わずに免疫シグナルを調整することを目的に開発された、経口ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬だ。REMODELプログラムでは、プラセボではなく実薬を対照として有効性を検証している。
ノバルティスにとって今回の結果は、特定の蕁麻疹疾患ですでに承認されている同薬の、新たな適応症の可能性を裏付けるものだ。ただし、これらの疾患に対する承認は、多発性硬化症に対する承認を示すものではない。
同社は再発性MSを対象に世界各国で承認を求める計画だと述べたが、発表では申請時期を明らかにしなかった。したがって、臨床試験での成功は、規制当局の承認や将来の商業的な実績とは別のものだ。
結論
レミブルチニブ試験は、テリフルノミドに対する再発抑制上の優位性を示したほか、一定の留保を伴う障害に関する所見と、良好な肝臓関連の観察結果も示した。次の予定される節目は、ノバルティスによる再発性MSを対象とした世界各国での規制当局への申請だが、申請日は発表されていない。
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